ほんのひとにぎり

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【忠告】満員電車では指の挟まれに注意!哀れな男の体験談を紹介します

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そんなところに指が挟まるの?

これは今から数年前の話です。当時高校生だった僕は登校のために駅で電車を待っていました。

僕がいつも乗っていたのは満員電車で、毎日憂鬱な気持ちで乗っていました。大体僕は、遅刻しないように余裕を見て駅に着くようにしていたので、順番待ちの列の前の方にいたんですが、その日はいろいろあって遅くなってしまい、列の最後尾に並んでいました。

満員電車に乗るうえで最後尾は一番避けなければならないポジションです。

なぜかというと、満員電車が定員オーバーした時に真っ先に降ろされるからです。

 

「まぁ遅れたから仕方がないや」と思いつつ電車を待っていました。

いつも通りの満員。降りる人が多いですが、乗る人も多い。

定員オーバーにならないか心配でしたが何とか乗ることが出来ました。

最後尾にいましたから電車でのポジションは最悪で、中にいる人たちを押し込みながら乗車しました。

とにかくドアさえ閉まってしまえば乗れたことになりますから、サラリーマンを押し込みつつドアが閉まるのを待っていました。

 

そしてようやく閉まるドア。僕は乗れるか乗れないかのギリギリで手だけ外に出ていたのでとっさに引っ込めました。

周りは人だらけでしたから、どのポジションに手を持ってくかといったら上か下です。急だったので僕はとっさの判断で、手を挙げるような形で上に持っていきました。

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ちょうど黄色い服のおじさんのような体制です。実際はもっと満員でした。

 

なにはともあれ閉まったドア。しかし次の瞬間指に激痛が走ります。

満員電車ではストレスなどの苦痛は日常茶飯事ですが、痛みという苦痛は初めてです。驚いて指の方向を見ると、指がドアに挟まっている!!挙げた手があり得ない部分に挟まっているのです。

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ドアと名称不明な上の部分に挟まれてしまった親指。

こんな部分に指が挟まれるなんて聞いたことがありませんから、一瞬、何が起こっているかわかりませんでした。

しばらく何も考えられず、頭が真っ白になりながら親指を見ていました。2分ほどしてようやく何が起きているのか受け入れることができました。

自分はよくわからない部分に指が挟まれた・・・。

 

どうしよう周りの人に言って助けてもらおうか・・。

きっと親切な人なら車掌さんとかを呼んで助けてくれる。

しかし僕が乗っていたのは満員電車です。

確かに、誰かに言えば助けてもらえるかもしれませんが、僕のために電車を遅らせることは気が引けました。

そもそも、電車が次の駅についてドアが開けば助かる話です。

僕は苦痛に耐えて次の電車が駅に着くのを待つことに決めました。

 

 血の気がなくなっていく指と絶望の事実

いつもならそれほど長く感じない駅の区間がものすごく長く感じます。

指を見ると挟まれて血の流れが止まっているせいでどんどん白くなっていっています。「このままだとヤバい」「早くついてくれ」「いや待て、これ駅についてドアが開くときどうなるんだろ、もしかしたらメチャメチャ痛いかもしれない」指が挟まった瞬間は突然だったので恐怖はありませんでしたが、その逆はめちゃくちゃ怖いです。

まったくの未体験ですからね。下手したら指が大変なことになる可能性もあるわけです。

 

いろいろ考えているうちに次の駅への到着を告げるアナウンスが流れます。

しかしここで大事なことを思い出しました。開くのは反対側のドアだったのです。

パニックと痛み、そして未知の痛みへの恐怖で脳が正常に働かずこんな当たり前のことも忘れていたのでした。

また次の駅まで待たなくちゃいけない。次の駅まで4分。この4分が今の状況ではものすごく長く感じてしまう。

はっきりいって絶望でした。白っぽかった指は完全に白です。

これ以上挟まれたままなら大変なことになる気がしました。

しかしここで次の駅も反対側のドアが開くことを思い出します。

そして、さらに考えてみると終点まで反対のドアが開くことを思い出します。僕が挟まれた側のドアはもう開かないのです。

 

かなり絶望しました。

ただ幸いだったのが終点まであと3駅だったということ。

もう痛みがヤバかったですが、3駅ならまだ何とか我慢できると思いました。

ただ終点まで行くということは自分の降りたい駅を通り過ぎなくてはならない。

しかしここはそうせざるを得ませんでした。

乗客は僕のいつも降りる駅で4割、そして終点で6割おります。

つまり僕が自分の降りたい駅で何とかしてくれと騒ぐと6割の人に迷惑が掛かってしまうのです。

幸い、一度終点についてからもう一度折り返して自分の降りたい駅に降りるぐらいの時間はあったので終点まで行くことにしました。f:id:tukutomo:20171228161422j:plain

痛みに耐えることを決心した僕は必死に終点が来るのを待ちます。

終点までにかかる時間は約10分。

普段ならスマホを見ていればあっという間に過ぎていく時間ですが、その余裕もありません。

秋の過ごしやすい気温の車内でも、痛みのせいで汗が止まりませんでした。

 

痛みと羞恥で頭の中がカオスに

そして、しばらくしてようやく終点一歩手前の僕が降りたかった駅に着きます。

人がどんどん降りていき快適になっていく車内。

僕の横にいた人も車内にスペースが出来たため他の人と適切な距離が保てる位置まで移動します。

多くの人がそうしていく中で、僕はそれが出来ませんでした。

指がドアに挟まれて固定されているからです。

僕の周りから乗客がいなくなったことで、次第に僕に注目が集まってきます。

 

異変に気付くほかの人たち。それもそのはずです。

満員電車でもないのに満員電車風のポーズをとっている男がいるのですから。

誰にも押されているわけでもないのにドアに張り付いて手を挙げている男。

周りの人たちの目にどれだけ滑稽に映ったかわかりません。

 

羞恥と苦痛で頭がぐちゃぐちゃになった僕。

こんなひどい一日の始まりは初めてでした。

一体僕が何をしたのだろうか。あまりにも理不尽な仕打ちでした。

 

もう親指が真っ白になっていたころ、ようやく終点のアナウンスが流れました。

「やっとこの苦痛から解放される」もはや僕はそのことに喜ぶ元気もありませんでした。

ゆっくりと速度を落としホームに着く到着する準備をする車両。

車内の人たちはドア付近に集まり出る準備をしていました。

多くの人が座席を立ちドアが開く瞬間を待っています。

しかし、一人の男だけは反対側のドアで満員電車風のポーズをとっているのでした。

 

ホームに到着した電車。乗客が次々と降りていく中で相変わらず微動だにしない満員電車風の男。

その間抜けな男の姿をシェアしたいのか、シャッターの音も聞こえました。

 

そしてようやく・・・

乗客のほとんどが下りた頃、僕は機会を見計らって優しそうなサラリーマンに声を掛けました。

事情を話すとすぐに車掌さんを呼んできてくれました。

しかし読んでもらっている間も羞恥は続きます。

終点駅なので僕の乗っていた電車はそのまますぐに折り返し電車になるのです。

次々に乗ってくる乗客が僕を好奇な目で見てきます。そりゃそうです。

僕もこんなやつが乗ってたら爆笑します。

 

サラリーマンと一緒にやってきた車掌。ようやく指が解放される時が来ました。

完全に白くなった指を見ながら、最後に来る痛みに覚悟を決めます。

しかし車掌が取り出したのはカギ。

そのカギをドアの脇の鍵穴にさすと、僕の指を挟んでいた名称不明の部分が開いたのです。

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激痛を覚悟していた僕は呆気にとられながらも一連の出来事が終わったことに安堵したのでした。

サラリーマンと車掌さんにお礼を告げると、僕は視線の多い車内からそそくさと飛び出しました。

 

以上が僕の体験談です。これを読んだみなさんも気を付けてください。本当に痛いですよ。あと俺の挟まってる写真撮ったやつ許さないからな。