【書評】「柳井正わがドラッカー流経営論」日本一の経営者を通してドラッカーを学ぼう!
はじめに
ファーストリテイリングの創業者であり、日本有数の経営者でもある柳井正。
彼の経営はドラッカーに深く影響されているといいます。
ビジネスの世界で知らない人はいないといわれるドラッカー。
彼の思想に共感する人は多いですが、実際にその通り生きることは難しいと思います。
ですがこの本を読むと、柳井正はその思想を自分のものにしていることがわかります。
だからこそファッション業界で日本一、そして世界でも三位の一大企業へとファーストリテイリングを成長させることが出来たのだと思います。
この本ではドラッカーについて語りながら、ファーストリテイリングそして柳井正自身について語っています。
簡単な感想を述べてから、本の中でで印象に残った部分をまとめたいと思います。
感想
本書を読むと柳井氏が本当に深くドラッカーの考えを理解していることがわかります。
ところどころドラッカーとは関係のないことを言っていますが、それらの 言葉がとても参考になります。
働き方、時間の使い方、人材についてなど目からウロコです。
やっぱり柳井氏は素晴らしい経営者ですね。
本を読んでますますそう感じました。
もちろん、自分の書いた本で自分が不利になることを書く人はいませんが、やっぱり考え方が素晴らしいと思います。
浮かれたところが全くなく、企業の成長のために何ができるかを考える、お客様目線に立つことが大事など、当たり前のことをすごい突き詰めて行っています。
現状に甘んじない姿は尊敬できますね。「一勝九敗」を読んだ時から好きですが、ますます好きになりました。
印象に残った部分
顧客の潜在意識を形にしろ
ニーズを満たすとは現在いる顧客を満足させることだけではなく、顧客の潜在意識に存在しているがまだ世の中に出ていないものを、形にして提示することも必要だそうです。
ヒートテックの登場以前はいわゆるババシャツという、あったかいんですが見た目の悪い肌着を着る人が多くいました。
そこでユニクロは見た目の良いババシャツをつくれば売れると考えたのです。
結果的にヒートテックはユニクロ史上に残る大ヒット商品になりました。
「デザイン性のある肌着が欲しい」という形にはなっていない潜在的なニーズを満たしたからこそ、この大ヒットは生まれたのです。
ユニクロとg.u.の違い
ユニクロもg.u.も同じファーストリテイリングのブランドです。
ユニクロもユニクロは最高品質の服を低価格で売ることをモットーにしているそうです。
一方g.u.は超低価格である程度の品質のものを売ることをモットーにしているそうです。
確かにg.u.はファッション性の高いアイテムは多く売っていますが、品質という点では中程度ですね。
長所を伸ばすと欠点は気にならなくなる
ドラッカーの言葉に「あらゆる者が、強みによって報酬を手にする。弱みによってではない。最初に問うべきは、我々の強みは何かである」というものがあります。
柳井氏はこの言葉を意識していたようで、経営においても、短所を改善するより長所を伸ばす方がよっぽどプラスに働くそうです。
そして、不思議なことに長所を磨いていけば短所は気にならなくなってくるそうです。
したがって、失敗を恐れることなく新たな長所を見つけ、それを伸ばしていくことが成長の秘訣だと言っています。
ユニクロ野菜失敗の原因
そういえばそんなことやっていたなぁというユニクロ野菜ですが、失敗の原因は野菜の安定供給の難しさにあったそうです。
ユニクロ野菜のコンセプトは、ユニクロの服と同じく品質の良い野菜を提供することでした。
服であれば工場があって従業員がいれば安定して生産することが出来ますが、野菜の場合は気候条件などに大きく左右されるので、安定供給は難しいです。
その結果、基準を満たす農産物が収穫できないこともあり、それを改善するには自社で農場を作ることが必要でした。
はじめは契約農家に任せるつもりでやっていたので、自社農場を作るという大きな投資を考えておらず、やむなく撤退したそうです。
さいごに
きっと何年後かに柳井氏がお亡くなりになったら、こういう本は経営者のバイブル的なものになるんでしょうね。
柳井氏や孫正義氏が藤田田氏から学んだように、将来の経営者もまた、柳井市の書籍から学んでいくんだと思います。良い本ですからね。
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